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発達障害は生まれつきの疾患だ(写真はイメージ)

(文:鰐部 祥平)

発達障害 (文春新書)
作者:岩波 明
出版社:文藝春秋
発売日:2017-03-17

 近年、アスペルガーやADHDといった発達障害が注目を集めている。本書の冒頭でも述べられているが、テレビドラマの登場人物でも発達障害を持っていると思われる行動をとる人物が活躍する作品が増えている。

 海外ドラマ『クリミナル・マインド』のDr.スペンサー・リードやBBC制作の『シャーロック』のシャーロック・ホームズなどは明らかにアスペルガー症候群の特徴を示しているし、日本のドラマでは最近話題になった『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)の主人公もアスペルガーの特徴を示している。

発達障害を持つ人は意外に多い

 実は発達障害を持つ人は意外に多くASD(アスペルガーを含む自閉スペクトラム症)は人口の1%、ADHD(注意欠陥多動性障害)は人口の5~10%ともいわれている。

 多くの人にその障害の存在が知られるようになったとはいえ、私たちが発達障害に対して正しい知識を持ったわけでも、発達障害を抱えた人たちを社会に受け入れて行くノウハウを手にしたわけでもない。むしろ、少し空気の読めない人や対人関係が苦手な人を「アスペくん」と呼んで煙たがったり、対人関係で躓いた人が、自らをアスペルガーと思い込んだりと、知識の欠落ゆえに起きる弊害も多いと著者は指摘する。