パリ国際農業見本市を訪れたフランソワ・フィヨン元首相(写真:AP/アフロ)

「今年の『見本市』は歴史に長く残ることになるでしょう!」──パリ国際農業見本市(2月25日~3月5日)の現場からテレビ記者が絶叫していた。

 3月1日午後、会場に到着した中道・右派陣営の公認候補である右派政党「共和党(LR)」のフランソワ・フィヨン元首相は無理して笑顔を浮かべていたが、疲労がにじんでいる様子は明らかで、痛々しいほどだった。

 予定では1日の早朝に見本市を訪問する予定だった。だが、前夜に司法当局から「3月15日に(起訴を前提にした)本格取り調べを開始するから出頭せよ」との喚問状が届き、その対応に追われため、当日の朝になってドタキャン。訪問は予定時間より半日も遅れ、午後3時になった。

 フィヨン氏は、夫人と子供2人をカラ雇用した容疑で当局から捜査されている。正午に記者会見して、「政治的暗殺だ」と司法を強く非難。そのうえで「大統領選への出馬は断念しない。国民の判断を受ける」と言明した。

 このフィヨン氏の態度に対し、フランソワ・オランド大統領(社会党)は声明を発表し、「警官、判事の仕事に疑念を投げかけた」として強く批判した。