名門オケ新本拠地こけら落とし=ランドマークに、音響は豊田氏-ハンブルク

独ハンブルクで、こけら落とし公演が行われたエルプフィルハーモニー大ホール(2017年1月11日撮影)〔AFPBB News

 長時間労働の是正によって、少子化問題の解消や生産性の向上が期待される「働き方改革」は、安倍晋三政権の目玉政策だ。

 今後見習うべきは、労働生産性の高いドイツの働き方だとも言われる。

 だが、「働き方改革」を実現するためには、まず企業の体質や風土の改革が前提とされるだろう。組織の風土改革の専門家で、ドイツ人の働き方にも詳しい企業コンサルタントに話を聞いた。

ドイツ人は、仕事よりも人生を大事にする

 ドイツの時間当たり労働生産性は日本の1.5倍だ。昨年40周年を迎えた老舗ドイツ語学校ハイデルベルクの創立者、柴田昌治さんによれば、ドイツ人の働き方には次のような特徴があるという。

【一】1日を「働く時間」と「楽しむ時間」とにハッキリ区別する。

 そのうえで「楽しむ時間」をゆっくり過ごすために、仕事は「働く時間」内に終わらせようとする。

 就業時間は9~17時だけでなく7~15時、8~16時など多様だが、何時から始まろうが時間内できっちり片をつける。

 それだけドイツ人にとって人生とは本来「楽しむ」ものであり、そのための仕事として「働く」ことを価値づけている。逆に、仕事を「楽しむ」という感覚はほとんどない。

柴田昌治さん、1986年スコラ・コンサルトを設立。これまでにのべ800社以上の経営改革を支援してきた。著書多数

【二】自分の意志で「選択」することを尊ぶ

 ドイツ人にとって尊敬に値するのは、自分の意志で「選択」すること。

 だから「尊敬できる人」を意味するドイツ語を直訳すると、「何をしたいかよく分かっている人」となる。

 基礎教育が終わる10歳で、その後の進路を選択しなければならないドイツにあっては、小さい頃から自分で選択することが尊ばれる社会通念がある。

 例えば、子供が「将来は医者になる」と言う場合、親は医者という職業を選択したことではなく、職業を「選択」したこと自体を喜び、子供を尊敬する。仕事においても同様だ。

【三】仕事を「何時まで」ではなく、「何時間で」終わらせると考える

 日本人の多くは、何時までという期限から逆算して仕事を遂行しがちだが、ドイツ人は、「何時間で終わらせる」と考えてから仕事に取りかかる。

 こうした仕事の所要時間を意識するのは、自分の能力と仕事の容量を比較し、自分の「働く時間」内の優先順位を考慮する習慣があるからであり、当然、依頼された仕事の諾否も合理的に判断することになる。