年末年始、相手方の実家で過ごした方も多いだろう。そこで得られる面白い経験は「食の違い」だ。とりわけ東西に長い日本列島では、東日本と西日本で食の文化や習慣がかなり異なることが多い。
食に地域性が現れるのは、主に気候や地勢などの自然風土と、加えて歴史、文化、宗教、教育、伝統などの人文的風土が要因となる。
たとえば、海に近い地域では魚介類を食べる機会が多くなるというのは自然風土による食の地域性だ。また、かつての日本では仏教の教えから肉食が避けられてきたが、これは人文的風土がもたらした食の地域性といえる。
日本列島を大きく見ると、今も明確に「東ではこうして食べられるが、西ではこうして食べられる」といった、東西の食文化の違いがある。そして、ある程度はその理由が解明されているが、謎も残されている。
東の角餅文化は“楽の産物”という説も
正月の食べものといえば雑煮。入れる餅の形は、食の東西の違いを示す典型例だ。東日本では角餅、西日本では丸餅を食べる傾向が強い。
日本鏡餅組合は「お雑煮に用いるお餅の形と地域性」を日本地図上に示している。角餅と丸餅の境界線が、紀伊半島から能登半島にかけて存在することがうかがえる。