ネット小売り大手のアマゾン・ドットコムが11月8日、ベビー用品のネット販売サイト「ダイアパーズ・ドットコム(Diapers.com)」を運営するクイッツィ(Quidsi)という企業を約5億ドルで買収すると発表した。
アマゾンは、今年9月にベビー用品の無料会員制プログラムを始めているが、今回の買収はこうした家庭用品事業強化の一環となる。
米ウォールストリート・ジャーナルによると、家庭用品のネット販売額は2003年の40億ドルから2009年には100億ドルへと急速に伸びている。
売り上げ規模としてはまだ小さいが、容量が多く、持ち運ぶのに重かったり、かさばったりする商品をネットで購入したいという需要が高まっており、消費者ニーズの変化を背景にこの分野の競争が激化しているという。
アマゾン、あのウェブバンの再来にならず
アマゾンが家庭用品の販売事業を始めたのは2006年のこと。洗剤、おむつなどの日用品のほか、パスタやドレッシング、パンケーキミックス、缶入りスープといった食料品の販売を開始して話題となった。
しかしそれはネガティブなもので、ウェブテクノロジーの開発に資源を投じ、それを基盤として書籍や音楽CDを販売していた同社が危険な賭けに出たと危惧された。
1999年から2000年にかけて起こったドットコムバブルの時代に、米ウェブバングループ(Webvan Group)というオンラインの大型食品スーパーが登場したが、同社は後のバブル崩壊で12億ドルの負債を抱えて倒産した。
まだ市場規模が小さい段階で、巨額の先行投資を行ったことなどがその要因と言われたが、アマゾンもこのウェブバンと同じ道をたどるのではないかと懸念されたのだ。
あれから4年。言わずもがな結果はそうはならず、アマゾンは米国ネット小売り最大手の地位を謳歌している。今ではドットコムバブル後に登場した、新しい時代のテクノロジー企業としてその地位が確立していると言ってよいだろう。