それらを踏まえ、決議案は米国務省や情報機関に対し、日本や中国と協力して調査を進めることを求めていた。
前向きに調査に乗り出す米国政府
そして、ついに9月28日、米国議会下院本会議は「デービッド・スネドン氏の失踪への懸念表明」と題する決議案を全会一致で採択した。
同日の下院本会議では同決議案の提案者のクリス・スチュワート議員(共和党・ユタ州選出)が発言し、同決議案の趣旨として、(1)米政府機関が本格的な調査を開始する、(2)日本や韓国、中国の各当局にも協力を求める、(3)調査の状況を米議会に報告する──ことなどを指摘した。その後、決議案は本会議にかけられ、全会一致で可決された。
米議会のこうした動きの背景には、9月はじめにスネドン氏拉致疑惑が国際的なニュースとして報道されたという経緯もあった。「スネドン氏は平壌で現地女性と結婚して2児の父となり、北朝鮮の金正恩委員長を含む要人らに英語を教えている」という証言が韓国から発せられ、欧米メディアもスネドン氏拉致説を一斉に報道していた。
米国務省報道官もこの下院決議案採択を受けて「拉致の決定的な証拠はまだないものの、北朝鮮との関連を中心に調査を続けていきたい」と述べ、従来よりも前向きな対応を示した。米国が本格的な調査を始めれば、日米連帯によって日本側への好影響も当然期待される。