Second-placed Romain Bardet (L), Tour de France 2016's winner Great Britain's Christopher Froome (C), wearing the overall leader's yellow jersey, and third-placed Colombia's Nairo Quintana celebrate on the podium on the Champs-Elysees avenue in Paris, at the end of the 113 km twenty-first and last stage of the 103rd edition of the Tour de France cycling race on July 24, 2016 between Chantilly and Champs-Elysees. (c)AFP/jeff pachoud

 「経営をやってきて良かったと思える瞬間とは?」

 これまで何人もの経営者の方にこの質問をしてきた。その答えの大半を占めるのが、「従業員の成長を目の当たりにした時」だった。そして、従業員の成長を目の当たりにした時、経営者は経営者としての自信を持てるようになる。

 「藤田さん、もう20年近く経営をやってきましたが、やっと自分に少し自信を持てるようになりました」

 以前、あるコンサルティング会社の経営者から、ふとそんな話をされた。

 「と言いますと?」。そう聞き返すと、その方はこんな話をされた。

失敗ばかりする問題社員が一転

 ある事業部のリーダーを任せている部下がいる。彼は部下からの人望も厚く、お客様からの評判も上々だ。

 彼がリーダーを担当する前、この事業部は今後の可能性を見込まれる分野ではあったものの業績は伸び悩んでいた。

 チームや組織はリーダーが変わると業績も大きく変わる。

 彼がリーダーを担当してから、この事業部は社内の売り上げの大半を占めるまでに成長し、今後もさらなる成長が見込まれる。

 そんな彼であるが、細かい実務をやらせるとミスが多く、その能力は低いと言わざるを得ない。彼に細かい実務を担当させていた頃は、重大なミスをしてお客様からクレームをもらうことが多々あり、何度も社長が謝りに行った。

 ひどい時は謝りに行った際、お客様複数人に社長が部屋に閉じ込められ、数時間にわたって罵倒を浴びせかけられたこともあるとのことだった。

 社長というのは経営の全責任を負っており、責任問題になった場合は自らの個人財産を全て投げ打ってでも責任を取らなければならない場合もある。部下の責任は最終的には社長の責任となり、部下のミスは社長のミスとなる。