US Democratic presidential candidate Bernie Sanders speaks during a rally at Santa Monica High School Football Field in Santa Monica, California, on May 23, 2016. (c)AFP/Ringo Chiu

 心理カウンセラーはカウンセリングを行う時にまず意識するのが、クライアントに安心感を与え、安心して何でも話せる「場」を創ることである。

 安心できる「場」を創らないままにカウンセリングをしても、クライアントの本音や心の深い部分からの言葉を引き出すことはでない。

 「このカウンセラーは自分の気持ちを分かってくれない」

 クライアントはそう思うと、カウンセラーからの問いかけに対しても表面的なことしか答えなくなる。その状態で効果的なカウンセリングは行えない。

 そのため、クライアントが安心できる「場」を創れるかどうかがカウンセラーの腕の見せどころとなる。

プロジェクト・アリストテレスの証明

 限られた時間の中で「このカウンセラーは自分の気持ちを分かってくれる」とクライアントから思ってもらえる能力、そしてクライアントが安心できる「場」を創る能力、こういった能力を持ったカウンセラーは、クライアントの心の奥にある声を引き出すことができる、いわゆる「できる」カウンセラーである。

 この安心できる「場」を創る能力は、ビジネスの世界で生産性に大きな影響を与える。米グーグルが2012年に「プロジェクト・アリストテレス(Project Aristotle)」と名づけられた生産性向上計画に着手した。

 社内には様々な業務に携わる数百のチームがあるとされるが、その中には生産性の高いチームもあれば、そうでないところもある。この生産性の違いはどこから生じるのか。

 このことを様々な角度から分析し、より生産性の高い働き方を提案することがプロジェクト・アリストテレスの目的だった。

 そして、その調査から分かったのは生産性を上げるうえで重要なのは、他者への心遣いや配慮、共感から生み出される安心感が存在することだった。