道の駅に並ぶ地元の食材。

 地域をアピールし活性化しようとしたとき、その地域の名産品に着目するのは自然な流れだ。道の駅などでは、所狭しと、その地域の特産品が、旅行者がお土産にと、手に取ってくれるのを並んで待っている。

 また、2011年の東日本大震災や今年の熊本地震でも、被災地の特産品や食材を積極的に購入する「食べて応援」という合言葉が使われていた。特産品の生産は、地元を支える産業でもあり、一種のアイデンティティともいえるだろう。

 さて、ここで振り返ってみよう。あなたは、自分の地元の特産品や食材をきちんと知っているだろうか。たとえば3つ、挙げられるだろうか。そうしたら、今度は、それらの食材をどれくらいの頻度で口にしているか思い出してほしい。この1週間で、それらにどれくらい触れただろうか。

 長年その地域に住んでいる人でも、意外と日常的に口にしている人は少ないのではないだろうか。何か機会があれば食べるという人も、日常的に食べようとなると、少し身構えてしまうだろう。

 しかし、もし子供の頃に、その特産品を食べて育ったのであれば、いま食べたとしても、ある種の懐かしさや安心感を覚えるはずだ。もしも、その味に地域で共感を覚える人が多くいるなら、それがその地域の「好みの味」ということになるだろう。

 そんな地域ごとの味の嗜好性を調査し、素材選びや味作りに活用する商品開発を行った会社がある。その開発の狙いや苦労などを聞いてみた。

ご当地素材とその味わいを生かした製品づくり

「全国を東西に分けた場合、東が口に入れてすぐに味わいを感じらえる先味(さきあじ)系を好む傾向があり、西は口に入れてから徐々に味わいが感じられる後味(あとあじ)系を好むようです」

 そう語るのは、「アサヒ 十六茶 ご当地素材ブレンド」の担当者の、アサヒ飲料株式会社 マーケティング本部 統括課長の渡部友一郎さんだ。