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図鑑は子どもの知的好奇心を刺激する。(写真はイメージ)

(文:野坂 美帆)

頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある
作者:小川 大介
出版社:すばる舎
発売日:2016-03-23

 本書『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(http://www.amazon.co.jp/dp/4799104993?tag=m_nosaka-22&ie=UTF8)は進学塾で講師として活躍した著者が、辞書、地図、図鑑を使って子どもの知的好奇心を刺激する、また知識を吸収し思考する力を育てる方法を指南した1冊である。

 リビングに辞書、地図、図鑑を置くことによって、すぐにその場で調べられる環境を整え、子どものアンテナが立った瞬間を逃さない。子どもの気が移ろわないうちに、世界との接点を強化し、またそこから話を広げることで知識の幅を広げ、更なる好奇心を喚起する。

 またその際、大人が子どもにどのような関わり方をすればより子どもの学ぶ力を損なわずにいられるか、より伸長できるかを説いている。教育に関心のある方はぜひ読んでいただきたいと思う。

図鑑は「積ん読」でいい

 しかしながら本書の中で特に注目するべき点は、図鑑という本の捉え方である。今回は、本書中の図鑑に関する部分を特にご紹介したい。

 何かを調べたいから、何かが好きだから、より深くその世界の知識に触れたい。本来図鑑を購入する目的はそのようなものであったはずだ。しかし筆者は図鑑を「積ん読」でいいと言う。生活圏内に置いておくということがまずは重要であり、何かの拍子にでも本を開く瞬間があるかもしれない、その時のために場を整えておくことを心がけるべきだと言う。「いつかは出番がある」と気楽に考えて、環境づくりをしようをいうのである。