9次元の宇宙

――「ひも」はどこにあるのですか?

ディミ 私たちが暮らす空間にあります。私たちは、3次元しか認識できませんが、超弦理論においては、この世界は9次元とされていて、「ひも」はあらゆるところに存在しています。

――残りの6次元はどこに?

ディミ 3次元はXYZ、すなわち縦、横、高さの世界です。残りの6次元はカラビ-ヤウ空間と呼ばれるものです。エウゲニオ・カラビ先生とヤウ・シン=トゥン先生の2人の数学者が研究した、新しい数学の分野です。

 カラビ-ヤウ空間のサイズは10のマイナス31乗メートルくらい。超弦理論によると、ひもはとても小さく、その表面で振動しています。ですが、私たちはそれよりはるかに大きいので、その構造を感じることができません。

 カラビ-ヤウ空間は、どこにでもあります。腕を動かすだけでも、たくさんのカラビ-ヤウ空間を通っています。ひもは、カラビ-ヤウ空間の表面に沿って振動し、そのパターンが素粒子の種類に対応します。

万物の理論を擬人化した「T.o.E.」(左)とカラビ-ヤウ空間(右)。映像では6次元空間の3次元断面という、私たちが見える形で表現している。(c)Miraikan

――6次元の中身はどうなっているのですか?

ディミ 私たちが想像できない次元です。たとえば、『フラットランド 多次元の冒険』という昔の小説では、2次元の世界がありました。3次元の球がそこに入ろうとすると、最初は点(接点)、その後は円(断面)になります。2次元の世界にいる人からは、3次元の世界は想像できません。同様に、私たち3次元の世界にいると、それより上の次元はどうなっているか分かりません。