中国におけるビジネス上のリスクについての7回目は、中国の法制度に関する問題を取り上げたい。
2015年3月にJETROから発表された「2014年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」によれば、中国におけるビジネス上のリスク・問題点について、回答企業の41.9%が「法制度が未整備、運用に問題あり」と回答している。
中国は法治国家であるが、共産党の指導的地位が憲法で明記されていることから、法制度と実際の運用との乖離、頻繁かつ急な制度変更などの問題が存在している。中国におけるコンプライアンスは依然としてビジネス上の大きなリスクである。今回はその要因および留意が必要な法律等について解説したい。
法制度が急激に変動することも
中国の法体系は以下のように階層化している。()内は制定主体である。
(1)憲法(全国人民代表大会)
(2)法律(全国人民代表大会常務委員会)
(3)行政法規(国務院)
(4)国務院部門規章(国務院の各部・委員会)
(5)地方性法規 (各省・自治区・直轄市・省政府所在市等の人民代表大会)
(6)地方政府規章(地方人民政府)
(※)上記以外でも経済特区法規、自治条例・単行条例、特別行政区令(香港、マカオ)等の法律体系がある。