3月22日にブリュッセルの空港と地下鉄で同時テロが発生し、32人が死亡、日本人1人を含む約300人が重軽傷を負った(3月31日現在)。衝撃をもって世界に伝えられたが、今回のテロは起こるべきして起きたとの見方がある。
昨年(2015年)11月13日に、フランスのパリ、サンドニで同時テロ(死者130人、重軽傷者約350人)が発生した。その実行犯のうち「10人目のテロリスト」と呼ばれ逃走中だったサラ・アブデスラム(26)が、3月18日にブリュッセル西部のモレンベーク地区で逮捕された。その4日後に、今回の同時テロが発生した。
今回のテロは「ベルギーに潜伏するテログループがサラの逮捕に報復した」、あるいは「サラの逮捕が、もともと計画中だったテロ実施を早めた」という指摘がある。ベルギー当局は本来なら警戒を最大限に強化するべきだったのに、それを怠ったと非難されている。
貧困地区のクスリの売人だったサラ
サラは、フランスの事件発生から4カ月間も逃亡生活を続けていた。「イスラム国(IS)」の本拠地シリアに脱出したのではないかとの見方もあったが、ベルギーから一歩も出なかったとされている。