ベルギー連続テロ、計画は「前倒し」されたのか?

ベルギーの首都ブリュッセルの地下鉄駅での爆発を受けてブリュッセル中央駅周辺で警戒する軍の兵士と警察官(2016年3月22日撮影)。(c)AFP/EMMANUEL DUNAND〔AFPBB News

 3月22日にブリュッセルの空港と地下鉄で同時テロが発生し、32人が死亡、日本人1人を含む約300人が重軽傷を負った(3月31日現在)。衝撃をもって世界に伝えられたが、今回のテロは起こるべきして起きたとの見方がある。

 昨年(2015年)11月13日に、フランスのパリ、サンドニで同時テロ(死者130人、重軽傷者約350人)が発生した。その実行犯のうち「10人目のテロリスト」と呼ばれ逃走中だったサラ・アブデスラム(26)が、3月18日にブリュッセル西部のモレンベーク地区で逮捕された。その4日後に、今回の同時テロが発生した。

 今回のテロは「ベルギーに潜伏するテログループがサラの逮捕に報復した」、あるいは「サラの逮捕が、もともと計画中だったテロ実施を早めた」という指摘がある。ベルギー当局は本来なら警戒を最大限に強化するべきだったのに、それを怠ったと非難されている。

貧困地区のクスリの売人だったサラ

 サラは、フランスの事件発生から4カ月間も逃亡生活を続けていた。「イスラム国(IS)」の本拠地シリアに脱出したのではないかとの見方もあったが、ベルギーから一歩も出なかったとされている。