見て見ぬふりはできない北朝鮮とイランの絆

 さらに中国は、北朝鮮の核武装を防ぐために“イランとの絆”に関してもできることがあります。

――イランと北朝鮮が核兵器や弾道ミサイルの開発で長年協力し合っていることへの制裁措置ということですか。

ニクシュ氏 そうです。北朝鮮とイランは長年、弾道ミサイルの共同開発や核兵器開発の相互援助を続けてきました。

 当初は北朝鮮からイランへ技術や人員を供与するというパターンが多かったのですが、最近ではイランが北朝鮮に技術、財政、人員の各面で援助を与えるようになりました。北朝鮮の前回(2013年)の核爆発実験にはイランの専門家集団がわざわざ来訪して、立ち会ったことが確認されています。

 問題は、北朝鮮とイランのこの種の往来や運搬は、ほとんどが中国の領空、あるいは領海や港湾を通って行われていることです。中国当局はそのことを知りながら、止めようとしない。

 オバマ政権も、北朝鮮とイランが核兵器など大量破壊兵器に関して協力していることを認めようとしません。その理由は、おそらくオバマ政権が、イランとの間で個別に核開発防止の合意を成立させることに必死になってきたため、その合意の邪魔になることは避けたい、公認したくない、という計算からでしょうか。

 いずれにしても、オバマ政権が国連での制裁で中国にこうした根本的な態度の変更を求めず、さらに北朝鮮とイランとのつながりを追及しないままで進めば、ただのシャレード(みせかけだけの動き)となるでしょう。