マンコラに来た。ただ「マンコラに来た」と言うためだけに、マンコラに来た。
ペルー北部、海辺の町である。
ペルーからエクアドルへ北上するときのことだった。アマゾン川を遡る船から下りて、久しぶりの陸地を堪能している間に、バスでどんどん遠くへ行きたい気持ちになった。そこで、24時間バスを乗り継いで、マンコラというなにか卑猥な響きの町に降り立ったのであった。
既に夜になっていた。通り沿いには商店がちらちら開いている。水着の男たちがビール瓶を片手に歩いているが、観光地らしく、危ない雰囲気は感じない。
ビーチにバックパッカーの集まるパーティータウンと聞いていたから、宿はすぐに見つかるだろうと思っていた。大通りを走るトゥクトゥクに、このあたりで空いてそうな宿を教えてくれと頼んだところ、勧められたのがその宿だった。夜なので、即断。
フロントが広くて、大きなプールがあった。プールサイドにテーブルや椅子やビーチチェアが並べられていて、派手な電飾で彩られている。ライトの下には既に酔っぱらったヒッピー風の若者たちがわいわい。