世帯視聴率の問題点とは
では、世帯視聴率に課題はないだろうか。いやたくさんある。ありすぎと言っていいくらいだ。
まず、これは視聴率の問題と言うより日本社会のそもそもの問題なのだが、世帯視聴率はいまや高齢層に大きく引っぱられてしまう。視聴率の区分で、F1とかM2とか言う。MはMaleつまり男性、FはFemaleで女性。1は20~35才、2は35才~49才、3は50才以上。つまりF1は20~34才の女性、M3は50才以上の男性、といった意味になる。

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これは私がよく使う図なのだが、平成26年の日本の年齢別人口を視聴率の区分に当てはめて大ざっぱに計算したものだ。
M3F3合わせて45.2%もいる。逆に子供と若者(20歳以下とF1M1)を合わせても33.5%にしかならない。こうなると、視聴率をとるには若者に向けてなどいられない。視聴率を上げろとせきたてられる各番組スタッフはどうしても、F3を取りに行ってしまう。
だから世帯視聴率を指標にしているとテレビが“おばさん化“してしまうのだ。論理的・構造的にそうなってしまう。今のテレビは、“おばさん化スパイラル”に陥っていると言っていいだろう。
また、日本の家庭が「夫婦と子ども」から、一人世帯に強くシフトしていることも大きい。3~4人いる世帯では、その中の誰かが見れば「世帯視聴率」にカウントされる。だが、一人世帯では、その一人が見ないと世帯視聴率につながらないのだ。