ベラルーシの首都ミンスクに住む方に話を聞く機会があった。ミンスクでは、「放射線汚染地域出身者とは結婚させたくない」という人がまだいるそうだ。
また、放射線汚染地域出身者が亡くなると、まだ「チェルノブイリのせいで死んだ」と言われるという。こうした負のイメージが、30年以上経過しても残っていることに驚いた。
その負のイメージへの対策は現地にあった。
これまで2回(1回目、2回目)にわたってお伝えしてきた「原子力被害の勉強会」で、ブラギンという村を訪れたときだ。この村は原発から40キロほど離れた地域だ。
30年以上経っても高い放射線量
空間線量は毎時0.1μSv(マイクロシーベルト)を下回っていたが、現在もキノコなどでは高い放射線量が検出される。
ここでは、現地高校生によってプレゼンテーションが行われた。身近にある作物を取って放射線量を測定した結果を発表するもので、普段から授業の一環として行っているそうだ。
この授業は非常に重要だ。
まず、自給農家が多いブラギンでは、自分の畑で収穫した作物の放射線量を計測する習慣が重要だ。若いうちから放射線教育をすることで、放射線量の高低や、どのようにして放射線量を下げるかなどの知識が自然と身につく。
その結果、不必要な放射線被曝を避けることができる。さらに、この知識があれば、言われなき偏見や差別から受けるダメージを少しは軽減してくれるだろう。