そろそろ年末、1年を締めくくる映画祭や歌謡祭などが行われる時期である。
韓国映画は庶民から根強い支持を受けているため、アカデミー賞ほどの華やかさはないものの、授賞式の様子はゴールデンタイムに放送され、レッドカーペットの上を歩くスターたちの様子を眺めるのが、この季節、お茶の間の風物詩の1つとなっている。
先日、「大鐘賞(テジョンサン)映画祭」という韓国映画の授賞式があった。
今年で52回目を数える韓国ではとても歴史の長い映画授賞式である。だが、この授賞式で候補になっていた主演クラスの男女俳優や監督が大挙して欠席するというハプニングが起きた。
引き金引いた「代理は許さない」
発端は、大鐘賞の執行委員会が「代理受賞を認めない」という宣言をしたことだった。この発表を受けて受賞候補の俳優たちが、「海外滞在のため」「妊娠のため」「ドラマ撮影のため」「スケジュール上での都合」など、様々な理由をつけて一斉に欠席を表明した。
大鐘賞映画祭は、もともとは政府主導で始まった映画祭であり、いまだに政府から補助金が出ている点で官製映画祭という色彩が強い。
その沿革を見ると、1958年に政府が国産映画の保護育成計画の一環として施行した「優秀な国産映画授賞式」が始まり。
1961年には「優秀映画賞」、62年には「大鐘賞」、97年からは「大鐘賞映画祭」と名称を変えてきた。当初からずっと政府の管理の下で行われたが、92年に運営の主体が変わった。
映画監督協会、映画企画プロデューサ協会、映画シナリオ作家協会、映画俳優協会など、8つの職能協会が集まった「映画人総連合会」が主催するようになったのだ。
しかし、上述したようにいまだに国から補助金をもらっているので、完全な民間経営とは言いにくい。