中国の習主席が訪米開始、シアトルで財界人らにアピール

米シアトルのペインフィールドに到着し、出迎えの人々に手を振る中国の習近平国家主席(左)と彭麗媛夫人(2015年9月22日撮影、資料写真)。(c)AFP/MARK RALSTON〔AFPBB News

 中国の人民解放軍と共産党が、米国や日本、台湾の内部の意見や認識を中国側に有利に変えようとする謀略工作を密かに実施している。大いに注意しなければならない──米国の専門家たちが、中国当局の「政治戦争」に警告を発し、対策の必要性を強調した。

 ワシントンの2つの大手研究機関「ヘリテージ財団」と「プロジェクト2049研究所」が10月に共催したシンポジウム「影響作戦=中国の東アジアや同盟諸国への政治戦争」での報告と警告だった。日本にも直接かかわる重大な課題だといえよう。

ターゲットを3つのレベルに分けた秘密工作

 このシンポジウムにおいて、プリンストン大学教授で中国や諜報の研究を専門とするアーロン・フリードバーグ教授が、中国当局が「政治戦争」と呼ぶ秘密工作の全体図について説明した。同教授はブッシュ前政権では副大統領の国家安全保障担当補佐官を務めた。

「中国当局による米国への秘密の影響力行使工作には、3つのレベルのターゲットがあります。第1は、中国が『古い友人』と呼ぶ、昔から対中交流に関与してきた著名な元政府高官や財界人などです。第2は、現役に近い前外交官や前軍人、学者など政策形成に近いエリート層です。第3は、中国や外交の研究者を含めた民間の一般層で、ここにはメディアも含まれます」