11月13日金曜日に発生したパリ同時多発テロ、非常に重大な事態で推移を慎重に見守る必要があると思います。
2001年9月11日にニューヨークで発生した事件と同じく「同時多発テロ」という表現が用いられており、アルジェリア紛争以来の「非常事態宣言」を発したオランド大統領もすでに「戦争」という言葉を口にしている。
実は私は事件発生直後から緊密に欧州と連絡を取っています。このコラムには本業についてはほとんど書いていませんが、私の音楽の仕事は欧州に中心があり、パリでもいくつか進行中の計画があります。
「科研費」のプロジェクトなどはいったん休止した方が安全という方向に議論が進みつつあります。
私たちが日頃耳にする「ドミソ」という和音。こうした響きを作り出す「ポリフォニー」という音楽形式は西暦AD1200年前後にパリのノートルダム大聖堂で生まれました。
私の率いる研究グループではこの響きのダイナミクスの本質をつかみ出す音楽の基礎的な仕事に長年取り組んでいます。
観光地でもありキリスト教会であるノートルダムでのいくつかの仕事は、しばらく安全を見た方がよいのではないか、というかなり詰めた相談を今まさにしている最中です。
今月は私が理事長を務める国際時空間設計学会(ISTD)の世界大会を東京大学本郷キャンパス、福武ホールで開催します。このサイトからお申し込みいただければどなたでもお運びいただけます。
この「学会」は特殊な「学会」です。特定の「学術のための学術」ではなく、音楽のため、あるいは哲学や文学、宗教が抱える問題を解決する「ため」に、最先端の科学技術を惜しみなく使うという、世界で1つしかない運営をしているのです。
普通は「学問」が大事で、その出汁に音楽が使われたりしますが、私は音楽の人間で、音楽が大切です。科学も技術も音楽の価値目的のために用いる、そのスタンスで貫いてきましたし、今後も一生変わりません。
文系理系の必要なあらゆる知を動員して音楽の本質を明らかにするというような「学会」は、かつて地上に存在したことがありません。
ISTDも元来は、建築音響の脳認知を扱う学会で、それを音楽、文学、宗教、哲学などの諸問題に、値引き一切なしの複数のテクノロジーを駆使してアプローチする場へと6年ほどの年月をかけて育ててきた経緯があります。