11月13日にフランス・パリで発生した同時多発テロは、米国にも大きな衝撃を与えた。
熱気を増してきた大統領選挙戦でも、国家安全保障や移民・難民問題が大きな論点となることが必至となった。米国の識者の間では、今回のテロは戦争に等しい軍事作戦として認識すべきだという主張が叫ばれている。
米国ではパリでのテロを民主主義諸国全体への攻撃とみて、犯行声明を出したイスラム教スンニ派過激組織「IS」(イスラム国)への対策などが官民で論じられ始めた。オバマ大統領も敏速に声明を出し、「無実の民間人を恐怖に陥れる非道な企てだ」「テロリストに裁きを受けさせ、いかなる組織であれ、追及する」と宣言した。
米国での具体的な論議としては、まず欧州連合(EU)内の移動の自由などのあり方に対する再考を促すとともに、国際社会がISなど過激派のテロ活動の情報を収集し共同で対策を講じる方法や枠組みについても、根幹から改善を求める意見が出ている。
世界が学ぶべき4つの教訓
こうした動きのなかで特に注視されるのは、ブッシュ前政権で国務次官や国連大使を務めた保守派論客のジョン・ボルトン氏が指摘した「4つの教訓」であろう。