安倍首相の「携帯料金は高すぎる」という鶴の一声で始まった総務省の「有識者会議」の初会合が19日開かれ、総務省は「日本の携帯料金は高くない」と強調した。たしかに主要国の平均より高いが、単価は最近は横ばいだ。問題はスマートフォンの登場で通信量が増えたことで、ここ10年で通信料金が4割増えた。

 私の携帯料金も毎月1万円を超えるので、ちょうどiPhoneが壊れたのを機に、格安SIMカードと格安スマホに乗り換えたら、コストは3分の1になった。利用者がキャリアのいいなりにならないで合理的に選択すれば、料金は安くなるのだ。

利用者を欺く複雑怪奇な料金体系

 大手キャリアは「MNP(番号継続の乗り換え)割引で端末0円!」などのキャッチフレーズで客寄せし、ひどい業者は12万円もキャッシュバックしている。端末価格は最高のiPhoneでも9万円台だから出血サービスに見えるが、もちろんそんなことはありえない。こういう割り引きの原資は、2年縛りなどの長期契約で取っているのだ。

 私も今回、ちょうど10月で満2年だったので解約しようとしたら、「11月末まで解約できない」という。おまけに11月末を過ぎると新たに2年縛りになり、中途解約すると違約金を取られる。複雑な料金体系で分かりにくくして、キャリアまかせの長期利用者から高い料金を取り、それを割引の原資にしているのだ。


 これは新聞の拡販で「半年とったら3ヶ月タダ」などとやるのと同じで、短期契約だけだと赤字になる。キャリアを頻繁に乗り換えてキャッシュバックを受け、タダ同然で買った端末をオークションで売る「MNP乞食」と呼ばれる常習犯もいる。

 販売店も新規契約を取るとキャリアから販売奨励金が出るので、短期の契約をたくさん取る。おかげで日本の携帯契約者は1億5000万件と人口を上回り、携帯3社の営業利益は合計2兆3600億円。バカを見ているのは、高い料金を払い続けている長期契約者である。