台風6号接近、波と戯れる住民も フィリピン

フィリピン北部に台風が接近する中、マニラ湾沿岸で波と戯れる住民たち(2015年5月10日撮影)。(c)AFP/Jay DIRECTO〔AFPBB News

 新興国のビジネスリスクシリーズ第8回目として、人口が1億人を突破し、日本からも比較的近いことから近年注目が集まっているフィリピンを取り上げる。

 まず、フィリピンの概要を見ていこう。

 フィリピン共和国は大小7000以上の島々から成る島嶼国で、面積は約30万平方キロメートル(日本の面積から北海道を引いた面積程度)。人口は約1億70万人で世界第12位となっている。なお、同国の人口は今後も増加傾向をたどり、2029年には日本を追い越し、2095年まで人口増加が続くと予測されている。

 民族的にはマレー系のタガログ族28.1%、セブアノ族13.1%、イロカノ族9%などを中心に多くの少数民族で構成されている。宗教的にはキリスト教(カソリック)82.9%、イスラム教5%などとなっており、アジア最大のカソリック教徒がいる(民族および宗教については米CIAの「World Factbook」による)。

 言語はタガログ語を基にしたフィリピノ語と英語が公用語となっているが、少数民族も独自の言語を持っており、80以上の言語があるとされている。

約7%の経済成長をキープ

 スペイン、米国、日本による占領を経て、フィリピンは1946年に独立を果たしたが、経済的に米国に依存する構造は変わらず、1947年には比米軍事基地協定によって、多くの米軍事基地が置かれた。また、植民地時代から続く、スペイン時代のプランテーション農業に基づく地主と小作人の関係が現在も続いている。そのためジニ指数は46.00と格差が大きく、深刻な貧困問題を抱えている。