日本の安全保障が米国によって支えられているのは厳然たる事実。日米安全保障条約の改定50周年記念行事(2010年)にて(出所:海上自衛隊)

 安保法制の審議が参議院でも続く。この論議では、日本の防衛を支える米国の事情が考慮されていないことを、本コラム(「誰も言わない安保法制論議の致命的な欠陥」)で指摘した。

 米国は年来、超党派で日本が集団的自衛権の行使禁止を解除することを望んできた。この点の経緯も上記の報告で伝えたとおりである。

 ところがその米国側の意向が、実は「希望」や「期待」だけではなく、現状への不満であり、憤慨でもあることを最近改めて実感させられた。この種の不満や憤慨は、長期的に見ると日米同盟における米国側の日本防衛誓約を浸食する危険性すら感じさせる。ワシントンでのこうした現実は、現地に駐在する記者としてやはり日本に向けて報じる必要があろう。

下院ベテラン議員の日本非難の中身とは

 つい2週間ほど前の7月15日、下院外交委員会の公聴会で、有力議員の次のような発言を聞いた。

「日米同盟はまったくの一方通行です。有事には米国が日本を助ける責務はあっても、日本が米国を助けることはまったくありません。日本に防衛負担をもっと増やしてもらうにはどうすればよいでしょうか」