中国が埋め立てを進める南シナ海・スプラトリー諸島(南沙諸島)の7つの環礁(カルピオ判事のプレゼン資料より)

 前回(「フィリピン最高裁判事が中国の主張を一刀両断に」)に引き続き、マニラからの報告を続けます。

 今回マニラを訪れたのは、「海洋公共財に関する共通の行動に向けて」(Towards Common Actions on Maritime Commons)と題して地域の専門家を集めたワークショップ(6月15日開催)を、世界平和研究所、フィリピン外務省の外交研究所、フィリピン大学の海洋問題・海洋法研究所の3者共催で開催することが目的です。

 基調講演を引き受けてくれたのは、フィリピンの最高裁判所判事で南シナ海問題についての権威でもあるアントニオ・カルピオ判事でした。

 前回は、南シナ海における中国の埋め立て工事はどこまで進んでいるのか、国連海洋法条約に照らし合わせると中国の行為はなぜ認められないのかについて、カルピオ判事の分析を紹介しました。カルピオ判事の主張をさらに紹介していきましょう。