「海洋公共財に関する共通の行動に向けて」と題したワークショップで基調講演するフィリピンのアントニオ・カルピオ判事

 マニラに来ています。また来てしまったというべきでしょうか。昨年、バレンタインデーのカップルで賑わうマニラを訪れて以来、もう4度目になります。なにしろ、フィリピンの人々からの日本への熱い期待が尋常ではないのだから、無理もありません。

 つい3週間前のアキノ大統領の訪日が象徴するように、日本とフィリピンの関係は絶好調です。その大きな理由は、やはり南シナ海で中国が急速に進めている埋め立て工事にあります。大きな中国を前にして、小さなフィリピンは、単独では立ち向かえないのです。

 かといってASEANだけでも心もとなく、アメリカとの同盟関係が頼りですが、日本のようなアジアの同胞との関係強化こそが、やはりフィリピンの人々の心の支えとなるといった雰囲気がマニラに漂っているのです。

国際法に基づいて中国の道義を問うカルピオ判事

 今回マニラを訪れたのは、「海洋公共財に関する共通の行動に向けて」(Towards Common Actions on Maritime Commons)と題して地域の専門家を集めたワークショップ(6月15日開催)を、世界平和研究所、フィリピン外務省の外交研究所、フィリピン大学の海洋問題・海洋法研究所の3者共催で開催することが目的です。

 結果から言うと、会議には100人近くの人々とテレビ・カメラのクルーが押し寄せて、大きく盛り上がりました。というのも、フィリピンの最高裁判所判事で南シナ海問題についての権威でもあるアントニオ・カルピオ判事に基調講演を快く引き受けてもらえたからです。翌日のフィリピンの各紙にはカルピオ判事の言葉が並ぶこととなりました。