6月18日から20日までロシア・サンクトペテルブルクで国際経済フォーラムが開催された。各種報道によれば、米金融関係者の参加率が低かったものの、石油関連の欧州ビジネスマンの参加が多い傾向だったという。
1997年から毎年開催されているこの国際的なビジネス・フォーラムは、ロシアの今後の対外経済関係を占ううえで重要な場である。
石油などロシアに豊富な天然資源関係の話題と並んで、中国からも大型の代表団が参加して、新たな経済関連協定が結ばれた。
全体としてみれば、欧米の経済制裁の発動により、資源エネルギー分野を除くと、ロシアは中国との経済関係の強化を選択しているようだ。本稿では、資源エネルギー関連分野以外の中ロ協力、とりわけ金融分野の両国の関係を解きほぐしてみることとしたい。
ロシアを救った中国との通貨スワップ
思い起こせば2014年秋から冬にかけ、ロシアはルーブル・レートの暴落に見舞われ窮地に陥っていた。この際、間接的ではあるが、ロシアを救ったのは中国との通貨スワップ協定だった。
これは同年10月、ロシア中央銀行と中国人民銀行との間で調印されたもので、期間3年(双方が反対しなければ継続可能)で、上限250億ドル分の資金を相互に融通するという内容だった(同年末発効)。
中国人民銀行は、2008年12月に韓国銀行(中央銀行)との間で通貨スワップを結んだのを皮切りに、ベラルーシ国立中央銀行(2009年3月)、ウズベキスタン中央銀行(2011年4月)、カザフスタン中央銀行(2011年6月)といった旧ソ連諸国の中央銀行や、マレーシア、インドネシア、アルゼンチンなどとも同様の協定を結んでいる。
今回のロシア中銀との協定はむしろ遅い部類に入るのだが、これにより相互の流動性支援と人民元建て貿易取引の推進を図ったことになる。
ロシアにとって人民元の供給を得られることの意味は、中国との貿易において米ドルを用立てる必要がないと言うことを意味する。
一般に基軸通貨と呼ばれている米ドルは、米国を介さない貿易において決済通貨の役割を果たしているが、通貨危機に見舞われた国では外貨、すなわち米ドルの確保が困難になることで貿易決済に支障を来すことになる。
すなわち輸入ができなくなる。