米IBMは4月13日、医療データの分析などに関して米アップルと提携したと発表した。腕時計型端末「Apple Watch」やスマートフォン「iPhone」のほか、フィットネス・医療機器、健康管理アプリなどからデータを収集、分析し、医療関係者や研究機関などに提供するビジネスを始める。
両社はiPhoneや「iPad」用法人向けアプリの分野ですでに提携しているが、そのパートナーシップを医療分野にも広げるという。
人口知能「Watson」を医療分野に
IBMによると1人の人間が一生に生成する医療関連データは百万ギガバイトに上り、これは書籍3億冊以上の情報量に相当する。
だが、こうしたビッグデータを1カ所で記録、分析し、安全な方法で迅速に共有することは従来の方法では困難。同社が手がけるデータ分析やクラウドサービスの技術を使ってこれを実現し、医学・医療の発展に役立てたいと同社は考えている。
今回のIBMの発表に先立ち、アップルは患者の活動や症状、健康状態を測定・調査するiPhone用アプリの開発ソフトウエアツール「ResearchKit(リサーチキット)」を公開すると発表していた。またiPhoneにはApple Watchやフィットネス機器などからデータを集めて共有する仕組み「HealthKit」がある。
IBMとアップルの新たな提携では、これらの仕組みにIBMの医療データ分析クラウドサービスを活用。データの収集から分析、医師や研究者への提供までを一貫して行う。これにはIBMの人工知能「Watson(ワトソン)」を使うという。
医療ビッグデータの新事業「Watson Health」
IBMはこれに伴い、これらの医療関連データを専門に扱う「Watson Health(ワトソン・ヘルス)」と呼ぶ事業を立ち上げる。この事業の本社は米マサチューセッツ州ボストンに置き、英ロイター通信の報道によると、その従業員数は2000人。そのうち約75%が医師という。
またこの事業は、医薬品・医療機器・関連製品を手がける米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)や、医療機器大手の米メドトロニックとも提携する。