放射能―日本に巣食う目に見えない「敵」(上)

〔放射能防護服を着ての作業環境は厳しく、夏場は熱中症になる危険性も高いAFPBB News

 国道6号線沿いに車を走らせていると、簡素なプレハブ作りの建物の集合を見ることがあります。大きめの窓が1つついていて、中には2階建てのものもありますが、一見すると資材置き場かと思ってしまうこの建物です。

 時折こちらを仮設住宅と間違えられる方がいるようですが、実はここには多くの除染作業員が生活されています。

 今、相双地区で除染作業を行っている作業員の人数は5000人以上に上ります。地元の住民でさえ住居が確保できない状況下で、これだけの人数を収容する施設を確保することは困難を極め、その結果、作業員の住環境はどうしても厳しいものにならざるを得ません。

 もちろん、アパートの一室を借りている、という人もあります。しかし中には「低い間仕切りしかないところで雑魚寝している」と言われる方もいらっしゃるようです。今、そのような方々の健康が問題となっています。

高い基礎疾患率

 除染作業員の方が健康を害する理由にはいくつかあります。1つには、作業員の方々の、社会的背景があります。

 差別を避けるために付け加えておきますが、一言で除染作業員といっても、重機などの特殊技能を持たれる方もたくさんいらっしゃいますので十把一絡げにはできません。

 しかし、除染作業員募集のホームページなどを見ると、多くは「学歴・経験を問わず」となっています。これが何を意味するかと言えば、どうしても社会的弱者が集まりやすい背景があるということです。

 除染に限らず作業現場を転々として暮らしていらっしゃる方は、元々高血圧や糖尿病などの基礎疾患を持たれている方が多いのです。そしてこのような方は、医療機関へかかることを非常に嫌がります。