京都議定書の後ろ盾を失った環境省がついに“闘争”に打って出た

 環境省と経済産業省の間で再生可能エネルギー政策を巡るつばぜり合いが生じている。

 具体的には再生可能エネルギーの電力系統網への「接続可能量」を巡り、環境省が経済産業省にかみついている形だ。

 太陽光発電や風力発電は発電周期が不規則であるため、自ずと電気の供給と需要のタイミングにギャップが生じてしまう。そのため固定価格買取制度では、火力発電の出力を落としたり、電気を揚水発電に回したり、地域間で余った電力を融通しあったり、といった形で送配電網を運用する各電力会社に需給ギャップが生まれないように調整することを義務付けている。

 だが、当然それにも物理的限界がある。その限界量が「接続可能量」である。例えば経済産業省は2014年「太陽光発電由来の電力は年間30日までは買取を停止してもよい」という条件の下での九州電力管内での太陽光発電の接続可能量を817万kW、東北電力管内での接続可能量を552万kWと算定した。

 この数値は我が国の再生可能エネルギー政策の根本となる非常に重要な数値なのだが、環境省は経済産業省に対抗して、独自の調査で九州地域の太陽光発電の接続可能量913万kWと算定。また、東北電力管内の接続可能量については東京電力管内と合算して2513万kWと算定した。

 経済産業省の算定は「現在の接続可能量はどれくらいか」ということを前提に計算したものである。一方、環境省の試算は「2020年時点での接続可能量の見込み」という前提で計算したもので算定の基準は異なっているものの、この乖離は大きい。