中国モバイルゲーム市場の大爆発を背景に、昨年夏にナスダック上場し、ウォール街を沸かせたアイドリームスカイ(iDreamSky)。
3つ目のケーススタディーでは、同社の「卓越した先見性」に加えて、「中国で成功する組織の要諦」を体現するマネジメント陣のあり方に迫ります。
創業4年でナスダック上場を果たした「iDreamSky」
中国モバイルゲーム市場にとって、2013~2014年は、まさに「爆発期」と言うにふさわしい年になりました。2011年に500億円強だった市場規模が、2013年には2000億円弱と、約3倍の伸びを見せています。さらに、2017年には7000億円近くまで急成長を続けることが予想されています。
その背景には、スマートフォンの爆発的普及と、所得水準向上によるコンテンツ分野の急拡大があることは言うまでもありません。
●モバイル端末に占めるスマートフォンの割合は90%を超え、2013年の出荷台数は3億5000万台(日本の10倍以上)。タブレットを合わせたストック台数は7億台に到達
●ゲーム業界全体で見ても、1世代前のPCオンラインゲーム市場ですら、1兆円を射程に成長を続けている状況
一方で、中国独特の事情から、市場を熟知していない海外企業には、高いハードルがあるのも事実です。
●求められるゲームのスペックや嗜好性が異なる
●外資企業によるパブリッシュが規制されている*1
●アップルストア(Apple Store )、グーグルプレイ( Google Play)に代わり、数百のローカルな「野良プラットフォーム」が跋扈など
今回ご紹介したいiDreamSkyは、そうした中、海外ゲームの中国市場でのマネジメント(パブリッシュ・運営)という、ユニークなポジションで急成長を遂げてきた会社です。
同社は、大手(PC系)が見向きもしない黎明期に、モバイル市場に参入を果たし、「中国現地のことが分からない」「手間がかかる」との悩みを抱える海外企業から、Angry Bird、Fruits Ninja、Temple Runといった錚々たる著名タイトルを次々と受託します。そして、創業4年あまりの2014年8月7日、ナスダック上場にまで漕ぎ着けた同社は、
●登録ユーザー4.7億人、月間アクティブユーザー9800万人という大量ユーザー
●株主としてテンセント(26%)・レジェンド・キャピタル(Legend Capital)(20%)・LINE*2、パートナーとしてディズニーやゲームロフト(Gameloft)といったビッグネームを手土産に、ウォール街の投資家を大いに沸かせました。
*1 厳密には、外資規制を回避するスキームを組むことは可能だが、いずれにしろ中途半端な覚悟では難しいのは確か
*2 テンセントとLegend Capitalの株式シェアは上場申請時点。LINEはプレIPO段階から参画