震災から4年を迎えた福島では、「食の復興」へ向けての活動が徐々に軌道に乗り始めています。
美味しさを追求する「食べる」という文化と、家族の安心と幸せのための「食卓」の文化。この2つ文化に対する見直しと復興への試みが、福島に新たな食の文化への可能性を生んでいるようです。
食への誇り
相馬に移り住んで楽しいことは、何と言っても食べ物が美味しいことです。
相馬市が農大と協力して作った「そうま復興米」は、粘りがあって味が濃く、おかずなしでもいつまでも食べられてしまいます。秋にはスーパーで売っているリンゴの蜜の多さにも驚きました。
「震災前に東京の人に食べさせたら、蜜が多すぎて『これ、痛んでるよ』って言われたんだよね」
という笑い話にもうなずけます。スーパーに普通に並ぶ相馬山形屋の醤油や味噌も、日本一に輝いた逸品です。
また、福島県は都市の多くが城下町、ということもあり、素材だけでなく料理の文化も発達しているようです。
例えば北寄貝は現在北海道産なのですが、それでも地元の居酒屋で出される北寄貝の天ぷらは、関東から来る友人には大好評です。ある割烹で忘年会を行ったところ、京都からいらした先生が帰り際に「京都の一流店にもタメを張れる味」と太鼓判を押して下さったこともあります。