輸入や海外で買えた海賊盤(写真提供:筆者、以下同)

リアルタイム化した海賊版

 土曜午後の昼下がり。駅前の長州ラーメンを食べ、パルコに向かう途中、Drops Recordに寄る。千葉に住む洋楽好き高校生の聖地。行くのは毎週だが、買うのは月に1回と決めている。

 今から30年前のその日買ったCDはストーンズの「Nasty Music」。1972年ブリュッセルのライブを収めた海賊盤で5000円もした。ところが、いまや同じ音源のストーンズ自身が販売している。たったの7ドル。

 15年前、台湾の士林夜市にはシングル盤だけを集めた海賊盤が売られていた。GLAYの海賊盤CDは200円。もう台湾まで行かなくても、iTunesで好きな曲だけを買い揃えられる。

 デジタル化でパッケージ制作コストは低下し、ネットワーク化でブランド力のあるコンテンツは消費者と直結した。

 ただ、同時にパッケージ化されないコンテンツもネットワーク上を徘徊する。