テクノロジーの進化でが広がるアーカイブの効率的利用
昨年、慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授の中村伊知哉先生のお招きで、CiP(Contents Innovation Program)竹芝プロジェクトで話をしてきた。
CiPは、2019年のオープンを目指し、東京湾岸地区の竹芝に未来のデジタルコンテンツの集積地を作るために設立された会。今回はそのとき触れた「コンテンツのビジネスモデルは3つしかない」という話についてもうちょっと考えてみた。
CiPが具体化する2019年は、映画スタジオがカリフォルニアのハリウッド地区に集積してから約100年。
20世紀初め、アメリカ東海岸でエジソンが発明した映写機を使って映像を見せるビジネスをしていた人々が、その利用料支払いを逃れるために、西海岸に移動したのがハリウッドの始まりと言われている。
雨の少ないハリウッド地区に撮影スタジオが建てられ、映画館も作られた。いまでも、ロサンゼルスのノース・ハリウッド地区には、昔ながらの映画館が立ち並んでいる。
1927年に最初のアカデミー賞が開催された「El Capitan」や中国、いまでは家電メーカーTCLの冠がついている「Chinese Theater」などなど。
それ以来、約100年間、映画業界は著作権の複製で利潤をあげてきた。同じ作品を何度も売ることで儲ける。そのためにオリジナルの権利は守る。これがコンテンツビジネスの基本だ。
著作権を複製する技術がフィルムだけだった頃は、そのビジネスも単純明快だった。それこそ、フィルムを持ち歩き、地方で上映会をする旅の行商人のような人もいたらしい。