2008年4月のラスベガス。コンベンションセンターに集った300人の観衆の前で、Huluのジェイソン・カイラーCEOが爽やかに話している。
「好きな番組を無料で、いつでも!」「Huluのミッションは、プレミアムコンテンツを好きなときにお届けすることです」
米国版Huluは好調
Huluは、テレビのビジネスモデルのままプレミアムコンテンツをインターネット配信してビジネスになるか、という実験だった。
「Huluで『デスパレートな妻たち』を検索すると、abc.comへのリンクが表示される。そこがいい」そんなことをNBCの幹部が語っていた。最初は、全てがオープンでおおらかな感じだったのだ。
結果は・・・
「アナログダラーとデジタルペニー」と呼ばれたテレビとインターネット広告の単価の差は激しかった。初年度は3300万ドルの赤字。
もうひとつ。テクノロジーの進化(によるサービスのコモディティ化?)が早すぎた。
2011年頃から、コンテンツホルダー側のケーブルチャンネルが、マルチデバイス配信を加入者向けに無料で始めた。つまり、ケーブルテレビに入っている人にとって(つまり米国の5000万世帯)、Huluはそれほど魅力的でなくなってしまった。
3年で映画やテレビ番組をインターネット配信するイノベーションの優位性は失われたのだ。
ただ、昨年度のHulu有料版の会員数は500万件。1年で200万件以上増えている。売り上げは10億ドルを突破しそうだ。月額100ドル近く払うケーブルテレビを解約し、月額8ドルのHuluに入る人が多いのか、コンテンツに払う費用のダウンサイジングが起きている。