リブート版バットマンシリーズなど、独自の作風で知られるクリストファー・ノーラン監督の最新作『インターステラ―』(2014)が現在劇場公開中である。

 食糧不足が深刻化、子供たちが人類最終世代となりかねない危機に瀕した地球から、人類の運命を背負い、移住可能な惑星の探査へと旅立つ宇宙飛行士が主人公。

人間の内的宇宙を探る深遠なる物語

インターステラ―

 しかし、「星間」を意味する題名のSF大作が描くのは、『地球最后の日』(1951)のような単純なノアの方舟的脱出劇でも、『アルマゲドン』(1998)のようなヒーロー物語でもない。壮大なる宇宙を巡りながら、人間の内的宇宙をも探る深遠なる物語である。

 時間、次元、重力、ワームホール、といった概念も映画を構成する重要なパーツだ。

 3次元空間で動けば時間はゆっくり経過するようになる。重力も強くなれば時間の流れを遅くする。実生活への影響が極めて少ないことから感じることはないそうした時間の伸び縮みを、映画は雄弁に語ってくれる。

 ワームホールは、別の場所、時間へと移動できる「時空のトンネル」だ。

 1980年米国で大ヒットした科学テレビシリーズ「コスモス」で知られる天文学者カール・セーガンの小説が原作となった『コンタクト』(1997)で、ジョディ・フォスター扮する科学者が、地球外知的生命体と「Contact」するため、26光年離れた恒星へと向かう際、使われたのがワームホールだった。

 その原作執筆時、セーガンから相談を受け、移動手段にワームホールを使うことを提案したのは、友人のキップ・ソーン博士。『インターステラ―』で製作総指揮に名を連ね、理論のよりどころとなっている一般相対性理論研究の権威である。

 そして、その相談から、ワームホールを使ったタイムトラベルの理論的研究が本格化、1988年には、過去へのタイムトラベルも可能かもしれないとの論文を発表、世界を騒然とさせたのである。

 ノーラン監督にとって、宇宙を描く本格SFは今回が初めてだが、内的宇宙についてはこれまでも独自な視点で描いてきた。なかでも『インセプション』(2010)は、夢と現実の境界について考えさせるプロットが秀逸な異色作。