マット安川 憲法学者の小林節さんを迎え、相次いで発覚した政治資金をめぐる不正や安倍内閣が打ち出している憲法改正の問題点について、分かりやすく解説いただきました。

「政治とカネ」の問題は極めて重要、安倍総理に騙されてはいけない

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:小林節/前田せいめい撮影小林 節(こばやし・せつ)氏
憲法学者、慶應義塾大学教授、弁護士。日本海新聞・大阪日日新聞客員論説委員。『「憲法」改正と改悪』など著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同)

 「政治とカネ」をめぐる問題で、小渕優子(前経済産業相)さんの場合は、選挙買収の構造が出て、そうでないことが証明されていない。このままいったら犯罪です。

 小渕さんは、お嬢さまが何も知らずに親からの代のブランドで政治家になってしまった。答弁もすべて役人が作った紙を読み上げて、まったく不要な政治家状態だったと私は思います。

 もしかしたら、“よきに計らった”番頭たちにおカネを抜かれたのかもしれない。しかし、選挙区にモノを配ったりしているのは明らかに買収です。昔の選挙です。小渕さんのケースはかなり犯罪性が高いと思います。

 宮沢(洋一)経産大臣の場合は、SMバーに行くことは趣味の問題ではあるけれども、公的資金である政治献金を使ったというのは、政治活動としては説明がつかない。これは不道徳問題です。

 一方、民主党や維新の党で問題にされているのは、単なる記載漏れです。政治資金規正法にも訂正ということは書かれている。したがって違法、不道徳問題とは次元が違います。

 それを安倍(晋三)総理は全部まぜこぜにして、あなたたちだって問題があるでしょと、こんなことをしているヒマがあったら政策の議論をすべきじゃないですかと言っている。御用マスコミもそういうキャンペーンを始めた。ダマされてはいけないと思います。

 政治の任務はよく政策を作ることだと言われますが、もう1つあります。民主国家ですから、国民になり代わって権力を預かっているごく少数の権力者たちの資格審査も政治の仕事です。

 政策を作ること、政治家の資格審査、この2つが政治の仕事です。いま全体としてたいへんな資格審査の問題が起きているわけです。ここを見過ごしたら貴族政治になってしまいます。