死亡診断書には患っていた病名が

 尊厳死を支持するか否かの議論は、とかく感情的になる傾向がある。特に米国では、キリスト教団体が大きな発言力を持っている。ブリッタニーさんも、告白ビデオを公開してから、尊厳死に反対する団体から激しい非難を浴びた。

 同時に、過去に患者から懇願されて安楽死に手を貸したことがある医者や、尊厳死を望みながら、オレゴン州など合法な地域に引っ越す時間も体力もなく、苦しみながら壮絶な死を迎えた人の家族などからは、ブリッタニーさんの決断を支持する声が寄せられている。ブリッタニーさんの告白ビデオが、安楽死の是非について社会全体が考え直すきっかけを与えていることは確かだ。

 現在、ニュージャージー州では尊厳死法を通すかどうかの話し合いが進められている。少しずつではあるが、米国社会は明らかに尊厳死を肯定する方向に進んでいる。

 これまでオレゴン州で尊厳死を選んだ人たちの平均年齢は71歳。男女比はおよそ半々である。尊厳死を選んだ理由は、「介護が必要になることが恐ろしい」「人生を楽しむことができなくなった」「自分の尊厳が保てない」といったものだ。

 尊厳死法に基づき、彼らの死亡診断書には、「自殺」ではなく、患っていた病気の名前が死因として書き込まれることになっている。