「シエラレオネとリベリアでは全国民に感染が広がり、死者は500万人に達するだろう」
エボラ出血熱(以下エボラ)の感染が広がり、誇張とも思える衝撃的な予測が出されている。これはドイツの著名なウイルス学者ジョナス・シュミット・チャナシット氏が9月、ドイツメディアに発言したものだ。
ワクチンが開発されない限り拡大が続く危険性
世界保健機関(WHO)の予測が140万人という数字なので、改めてエボラの恐ろしさが強調された感がある。ただ同氏の予測について、医学者からは「行きすぎた数字。正確ではない」との声もある。
それでも米国立衛生研究所(NIH)のアンソニー・ファウチ博士は、「ワクチンが国中に行き渡らない限り、エボラの拡大を止めることはできないかもしれない」と医学雑誌とのインタビューで答えている。
西アフリカの3国(シエラレオネ、リベリア、ギニア)で今後も感染者・死者が増加することは残念ながら否定できず、500万人という数字は最悪のシナリオとしてあり得るのかもしれない。
WHOが発表した14日現在の感染者は8914人、死者は4447人で、過去数カ月の数字の推移を見ると、ほぼ4週間で感染者と死亡者が2倍ずつ増えてきている(エイズよりはるかに怖いエボラ出血熱、蔓延の兆し)。
日本人の感染者は報告されていないが、米国テキサス州ダラス市で8日、リベリア人男性トーマス・エリック・ダンカンさんが死亡した。世話をしていた看護師の女性が感染し、米メディアはエボラに大きな関心を注いでいる。
まるで米国内に感染が拡大していくかのような騒ぎだ。同じウイルスでも、エボラは水疱瘡のような空気感染で伝播する感染症でないにもかかわらず、である。
というのも、現時点で軽視できない報告が積み上がってきているからだ。
ウイルスは早い段階で分離(発見)されたが、感染経路はいまだに曖昧なところがある。テキサス州ダラス市の女性看護師は、防護服を着ていたにもかかわらず感染した。何度も隔離病棟に入ってダンカンさんの世話をしていた人だが、直接体液に触れたということではないようだ。