今回も前回(「急速に発展するヤンゴンと軍事的首都ネピドー」)に引き続き、ミャンマーについて書いてみたい。

社会貢献意識のあるミャンマー人の経営者

ヤンゴン市内(筆者撮影)

 先般、弊社(ドリームインキュベータ)の創業者・会長である堀紘一と共に、ミャンマーの大手民間企業の経営者3人とお会いした。

 わずか3人だが、いずれも立派な経営者であった。この3人と議論しただけでも、ミャンマーという国の人材的な層の厚さ、日本人との親和性をひしひしと感じることができた。

 私が働いているベトナムでのことだが、今まで何百人のベトナム人経営者に会ってきた。その中で、日本人的には残念に思うことがある。国や社会に貢献するという意識を持つ経営者が実に少ないということだ。

 社会への貢献と言っても、大それた話ではない。メーカーならば、少しでも人々の暮らしをよくする商品を作る。小売りならば、できるだけ良い商品をそろえて、みんなに届ける。こうした気持ちがあれば、それは社会貢献の意識だと思う。

 ベトナムでは、ほとんどの経営者が、自らの短期的な利益を得ることを動機としているように見える。彼らは、少し会社が大きくなると、すぐに会社を売却して早々に引退したり、不動産に投資したりする。世の中をよくするということへの意識は、残念ながら非常に希薄だ。

 今回のミャンマー人経営者は、3人が3人ともに、長期的な社会貢献意識を明確にもっていた。

 その1人、ミャンマーの民間大手医療企業の社長をつとめるAさん。お父さんが元ミャンマー中銀の副総裁という家庭に育ち、幼少期は英国で過ごしていたため、非常に上品な英語を話す。食事のマナーや振る舞いも上品で、洗練されている。