東証はついに取引時間の延長の検討に着手した

 東京証券取引所が、ついに取引時間の拡大を世に問いかけた。

 取引時間をめぐっては、延長を切望するインターネット証券と、現状維持派の従来型証券会社の激しい対立が目に見えているだけに、これまで本格的な議論に入ることは難しかった。しかし、2010年7月26日、東証は(1)昼休みの廃止 (2)現物株の夜間取引導入 (3)取引開始時間の前倒し (4)金融派生商品の夜間取引延長──の4つのケースについて、メリット・デメリットなどの論点をまとめたディスカッションペーパーを公表。9月10日までの間、幅広く投資家の意見を求めた上で、年内に取引時間の延長について結論を下す予定だ。

 兜町で大きな影響力を持つ大手・中小証券の反対を押し切って「投資家あっての取引所」という大原則を貫けるのかどうか。東証の覚悟が問われている。

「昼休みあり」は少数派

 東証がこうした問題提起をする背景には、経営環境が急激に悪化していることがある。東証の1日当たり売買代金は2005年度の3兆3600億円から4年連続で減少。2010年度はギリシャ・ショック後に投資家が株式市場から遠ざかった結果、これまでのところ1兆3600億円と、5年前の4割程度。中国などの取引所が台頭し、アジアナンバーワンの座も、いまや風前の灯火だ。

 2010年度の株式委託売買代金に占める個人投資家の割合は6月末時点で21%と、ピークだった2005年度の38%からの半減近い水準にまで落ち込んでいる。一方で外国人の割合は66%にまで上昇、海外市場の動向に一段と左右されやすくなっており、個人投資家の裾野拡大は急務だ。

 現状では東証の取引時間は、午前9時から午前11時までの前場と午後0時半から午後3時までの後場で、合わせて4時間半。欧米の証取に昼休みはなく、ニューヨーク証券取引所(NYSE)は6時間半、ロンドン証券取引所(LSE)は8時間半の連続取引で、それらと比べると東証の取引時間は見劣りする。そもそも世界の主要取引所で昼休みがあるのは少数派で、お隣の韓国でも2000年に昼休みを廃止した。