朝日新聞(以下、朝日とも略記)は慰安婦報道に関して焦点を逸らす責任逃れの特集記事(8月5日・6日)を書いた。その後も「核心は変わらず」(28日)として、自己弁護で恥の上塗りをしている。

 「過ちとは過ちを認めないことである」という論語の一節に照らして、朝日は本当の「過ち」を犯してしまった。

 「記事の一部に、事実関係の誤りがあったことがわかりました」と述べ、「済州島で連行」証言を「虚偽」と認めた。しかし、「似たような誤りは、当時、国内の他のメディアや韓国メディアの記事にもありました」と責任の希薄化を図っている。

 朝日は「強制連行」、「従軍慰安婦」を意図的に使ったとも思える誤報で日本の名誉が毀損し、旧日本軍が汚名を被っている。この期に及んでも論点をずらして、訂正も謝罪もしていない。

数次にわたって内閣が否定

 「強制連行があった」とした河野談話(1993年)によって、韓国や米国をはじめとする国際社会(国連を含む)で日本非難決議や日本を貶める慰安婦像・慰安婦碑が造られ、いわれなき中傷に晒されている。

 慰安婦碑の碑文には大要〈〝慰安婦″として世界で知られている20万人以上の婦女子を偲んで。彼女たちは、1930年代~1945年、日本帝国軍によって性奴隷とする目的で誘拐された〉といった文言が刻されている。

 「20万人以上」「日本帝国軍」「性奴隷」「誘拐」のすべてが嘘で、碑文自体が出鱈目であり、日本を傷つけ貶める目的以外の何ものでもない。こうした動きが国連におけるクマラスワミ報告や米国、オランダ、カナダ下院、さらにはEUなどにおける日本の謝罪要求決議につながっているとみられる。

 こうした誤りを正すために、歴代内閣は資料の検証を進めてきた。そして、橋本龍太郎内閣は「軍や官憲による慰安婦の強制連行を直接的に示すような記述は見られなかった」という閣議決定(1997年)をした。

 さらに精査したであろう第1次安倍晋三内閣も「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」と閣議決定(2007年)し、「強制連行」を強く否定した。

 民主党の野田佳彦首相は「強制連行の事実を文書で確認できず、日本側の証言もなかったが、いわゆる従軍慰安婦への聞き取りから談話ができた」と答弁(2012年)した。