世界一高いとされる日本の法人税を引き下げるべきだという声は産業界に根強い。政府も比較劣位に陥り始めた日本の産業競争力を回復させるために消費税の引き上げとセットで検討しているようである。

法人税を引き下げても景気は回復しない

今週のランキング
順位 タイトル
1 「食料自給率40%」は大嘘!どうする農水省
2 見栄を大切にする中国、実利を取る日本
3 中国人が日本に大量移住、その数毎週500人
4 笑うサムスン泣く国民、韓国経済に落とし穴
5 北朝鮮問題:悪夢のシナリオ
6 さらば農水省、あなたがいなけりゃ日本は強い!
7 二番底の懸念が高まる世界経済
8 金正日の死去間近? 大混乱必至の朝鮮半島
9 社員にはアメを、ムチはいらない
10 ネット時代は兵器より情報が勝敗決す
11 ウィンテルの終焉
12 あれから3年、市場が再び支配者になった
13 緊張する米中関係:海洋摩擦
14 小沢一郎、秋に乾坤一擲の大勝負へ
15 海軍増強にひた走る中国、アジア最強に
16 急成長遂げる中国内陸部の今
17 大失態演じた中国外交、米中対立どこまで
18 レクサス最上級車を見舞った
「直進に戻らない」不具合
19 機能不全に陥ったベネズエラの実情
20 ハンバーガー経済学で通貨を読む

 しかし、それが政府が期待するように日本の景気を回復させ、税収を上げる起爆剤になるのかというと、少し怪しい。

 怪しいだけではない。もしかしたら全く逆効果になる危険性もあるかもしれない。そう思わせる事例がお隣の国、韓国で起こっているのだ。

 「笑うサムスン泣く国民、韓国経済に落し穴」の記事によると、経済絶好調と言える韓国で、儲かっているのはサムスン電子など財閥系の大企業ばかりで、下請け企業は利益が大幅に減っているという。

 数字上は7%を超える高い成長率を誇っているものの、一流大学を卒業した大学生の就職率も50%ほどしかなく、国民生活には成長の実感は全くと言っていいほどないという。

 サムスン電子などの企業にかかる法人税は10%そこそこ。これに対しライバルの日本企業は36%もの負担を強いられている。

 稼いでも稼いでも利益を国に吸い上げられる日本企業に対し、サムスンは利益を内部留保し、新しい設備投資や研究開発に向けることができる。

 こうして韓国政府に支援されながら、日本に追いつけ追い越せを現実のものとしたサムスン電子だが、国や国民への恩返しは十分にできているのか、というのがこの記事の意味するところである。

 企業が成長してグローバル化すると、その企業の国籍が次第にはっきりしなくなる。すると国家による制御から逃れて世界中で自由に活動し始め、必要とあらば本社を他国に移してしまうことさえあり得る。