中国海軍は2009年4月23日に建軍60周年を迎え、初めて観艦式を挙行し「強大な海軍」建設の成果を誇示した。
大海軍国家目指す中国
さらに、2009年3月に訪日した梁光烈国防部長の「中国は永遠に空母を保有しないというわけにもいかない」との発言など、中国は空母保有への意欲を露わにし、一層の海軍拡張を目指している。
また、2008年12月にソマリア沖海賊対処のために艦艇部隊を派遣して以来、既に第6次派遣部隊がソマリア沖で護衛任務に従事している。
2010年4月10日、ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦を主力とする10隻の中国の艦艇部隊が東シナ海から太平洋に進出し、22日には南西諸島を横切って東シナ海に向かった。
その際、搭載ヘリコプターが海上自衛隊の護衛艦に異常接近するという事態を起こしている。
さらに7月4日には新鋭の「旅州」級ミサイル駆逐艦を含む2隻の艦艇が、宮古水道を通って太平洋へ進出した。
さらに7月初旬には東海艦隊が艦艇数十隻、戦闘機十数機の参加する大規模な実弾演習を東シナ海で実施するなど、海軍艦艇の活動は活発である。
このような中国海軍の動きをどのように理解すればいいのだろうか。その視点を探ってみたいと思う。
1. 海軍戦略の変遷
海軍の建設はその戦略に基づいて行われる。中国海軍の建設、あるいは近代化を規定する戦略はどのようなものなのか。中国の海軍戦略は、次のような式で表すことができよう。
中国海軍の戦略=革命の完成+海の長城+海洋管轄権の擁護+局部戦争+海上交通路の保護+非戦闘軍事行動
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アンチ・アクセス The String of pearl Strategy(真珠の首飾り戦略)
国共内戦において大陸から駆逐された国民党軍が台湾本島をはじめ舟山列島、金門・馬祖諸島等に盤踞し、そこを大陸反抗の拠点としたため、革命を継続、完成させるためには強大な海軍が不可欠であるとの理解が、中国海軍建設の直接的要因である。