今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(7月6日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)では、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更が閣議決定されたことについて解説したほか、防衛省が協力要請した航空自衛隊輸送機の不具合究明を東大が拒否したニュースなどを取り上げた。
なぜ中国は執拗に南シナ海を手にしようとするのか
中山 政府は1日、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を閣議決定しました。ここで改めて集団的自衛権について考えてみたいと思います。
まず、国際連合加盟国の全ての国は集団的自衛権を保有しています。日本はその中で、集団的自衛権を持っているけれども、憲法の制約で行使できないという立場を取ってきました。今回、その憲法の解釈を変更することが閣議決定されたのです。
ではなぜ今、集団的自衛権の行使容認が必要なのでしょうか。1つには中国の軍事的台頭が挙げられます。例えば、先日はこんなニュースが報じられました。
日本の衆院外務委員会で中国軍機が日本海上空で日本の自衛隊機に異常接近したと抗議する決議が採択されたことについて、中国外交部の洪磊(ホン・レイ)報道官は6月5日の定例記者会見で、「下心をもって『中国の脅威』を騒ぎ立て、中国のイメージに泥を塗る日本の立法機関のやり方は極めて無責任だ」と批判。
これは国民をミスリードし、対立を激化させ、日中関係を損なうだけであるとし、日本が日中関係の改善のため努力するよう促したとのことです。しかし、洪報道官の発言は事実と異なります。中国の国防費が過去24年間で約30倍の規模になっていることを見ても、中国人民解放軍の脅威は明らかなのですから。
中国が航空母艦を保持し、多数の潜水艦を南シナ海に配備していることに対し、日本のメディアでは資源獲得が目的だと報じていますが、そうではありません。本当の狙いは長距離弾道ミサイルを搭載し、米国を射程圏内に収めることで威嚇しようと目論んでいる可能性が高い。そのために、南シナ海の権益を握ろうとしていると見るべきでしょう。
また、中国はゴビ砂漠に軍事施設を建設し、ミサイル発射実験を行っているという情報もあります。こうした動きに対する抑止効果を高めるためにも、これからしっかりと立法府で議論することが大切です。