米がサイバー攻撃で中国軍将校5人を起訴

米国で起訴された中国人民解放軍の将校5人の写真〔AFPBB News〕

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●王東(Wang Dong、ハンドルネームUglyGorillaまたはJack Wang、対象コンピューターの違法操作)

●黃振宇(Huang Zhenyu、ハンドルネームhzy_lhx、他人のドメインアカウントを違法管理)

●孫凱亮(Sun Kailiang、ハンドルネームJack Sun、マルウエア付電子メールの送付)

●顧春暉(Gu Chunhui、ハンドルネームKandyGoo、他人のドメインアカウントを使った情報盗取など)

●文欣宇(Wen Xinyu、ハンドルネームWinXYHappyまたはWin_XY、対象コンピューターの違法操作)

 それにしてもよく調べたものだ。米側はこの調査に最低2年かけたという。仮に捜査開始が2012年6月だとすれば、それは中国通信機器大手「華為技術」と「ZTE」の不正情報収集が米議会で厳しく批判された時期と符合する(『中国通信機器大手の憂鬱』)。

 さらに、その1年後の昨年6月にはカリフォルニア州で米中首脳会談が開かれた。

 この首脳会談の最大の論点がサイバー攻撃だった。米側が中国側に対し、「この問題の解決が実際に米中経済関係の将来の鍵を握っている」ことを強調し、オバマ大統領が習近平・国家主席にこの問題を「引き続き真剣に考える」よう要請したことは既に書いたとおりだ(『オバマと習近平はどこまで親しくなったのか』)。

 当時ホワイトハウスは、「もしこの問題が処理されず、米国の知的財産に対する直接盗取が続けば、この問題は米中経済関係にとって非常に困難な問題となり、2国間経済関係の潜在的可能性を阻害する」とまで述べている。

 あれから1年、予告通り、遂にこの「阻害」が始まったということなのか。

米側のロジックと中国側の反論

 今回中国軍人を正式起訴したのだから、米側は意図的に北京のメンツを潰したことになる。中国側が怒り狂うことも当然織り込み済だろう。米国から見れば、1年前オバマ大統領が直接習近平主席に善処を要請したにもかかわらず、中国側がこれを意図的に拒否したのだから、起訴も当然の結果ということだ。

 これに対する中国国防部報道官の5月20日の発言が面白い。ざっとこんな具合である。

●米国による中国軍当局者5人の訴追は米中間の軍事関係を損なう可能性がある

●起訴は隠された動機のもとに行われたものであり、両国間の信頼に深刻なダメージを与える

●インターネットの安全性に対する米国の偽善さとダブルスタンダードが明らかになって久しい

●米国こそ世界最大のインターネットパスワード盗用者であり、対中サイバー攻撃の筆頭国だ