22年ぶりで米軍がフィリピンに帰ってくる。米比両国が新たに「国防協力強化協定(Enhanced Defense Cooperation Agreement, EDCA)を締結したからだ。海軍はスービック湾へ、空軍はクラーク基地へ。いずれもルソン島中部にある南シナ海の要衝である。今週は中国側の反応について考えてみたい。

オバマ大統領訪比

オバマ米大統領、フィリピンに軍事支援を約束 中国をけん制

フィリピン・マニラ郊外のボニファシオ基地で演説するバラク・オバマ米大統領〔AFPBB News

 4月28~29日、米国のバラク・オバマ大統領はフィリピンを訪問し、同国防衛に関する米国のコミットメントを再確認した。

 マニラ滞在中、ベニグノ・アキノ大統領とともに、米比国防協力強化協定が締結されたことを公式に発表している。ホワイトハウス発表資料によれば同協定の目的は次の通りだ。

1、米比同盟が引き続き平和と安定を維持することに資すること(helping the alliance continue to promote the peace and stability)
2、21世紀の挑戦に対処するための国防協力を強化すること(updating and strengthening defense cooperation to meet 21st century challenges)
3、米軍の巡回型プレゼンス強化を促進すること(facilitating the enhanced rotational presence of U.S. Forces)
4、地域における人道支援・災害救助を促進すること(facilitating humanitarian assistance and disaster relief in the region)
5、米比二国間訓練の機会を改善すること(improving opportunities for bilateral training)
6、フィリピン国軍の最低限の防衛能力確立を支援すること(supporting the Armed Forces of the Philippines to establish a minimum credible defense)

 これらの官僚用語で書かれた表現はいずれも抽象的で分かりにくい。これはフィリピンとその隣国にとって一体何を意味するのだろうか。米国の真の意図を推し量るため、例によって筆者の独断と偏見に基づく注釈をご披露することにしたい。