人間がモノを共有し合うことで生まれる新たなマーケット。
ある人が所有していて使わないものを、それを必要とする誰かに提供することで収益が生まれ、同時に無駄をなくすことができるエコシステム。
世界で、それを体現する「シェアリングエコノミー(共有型経済)」が成長し始めている。
アメリカでは人口の約4割がシェアリングエコノミーの潜在人口だと言われ、eBayなどで中古品の売買が積極的に行われているが、日本ではまだ馴染みが薄く、いまはまだ発展の扉を開けようとしている段階だ。
国連の推計によれば、2050年に世界の人口は96億人に達する。人口がその規模にまで膨れ上がると様々な資源が不足し、モノを無駄にせずに共有し合うシェアリングエコノミーはもはや不可欠になるという見方もある。
快進撃を続けるオンライン宿泊仲介プラットフォームAirbnb
このシェアリングエコノミーをリードするサービスとして注目を集めているのが、米国のAirbnb(エアビーアンドビー)という企業だ。
Airbnbは、所有する空き部屋を宿泊場所として提供するホストと、宿泊場所を探しているゲスト(旅行者)をつなぐインターネット上のプラットフォームで、世界192カ国で展開されている。
同社は2008年8月にサンフランシスコで設立、世界中に55万件以上の部屋が登録され、昨年は前年比2倍以上にあたる600万泊以上の利用があった。
Airbnbのサイトで目的地とする都市名を入力すると、バリエーション豊かな部屋とホストの情報がたくさんの写真とともに現れる。これを見るだけでも、思わず旅をしたい気分になる。
部屋はアパートや一軒家が中心だが、中には城や島という通常のホテル予約サイトでは出合えない変わり種のものまである。
このサービスが生まれたきっかけは、実に何気ない。
アパートをシェアして住んでいた創業者の3人(ジョー・ゲビア、ネイサン・ブレーカージク、ブライアン・チェスキー)は生活が苦しく、家賃の支払いに困っていた。
そんな最中、サンフランシスコでデザイン見本市が開催され、その周辺のホテルはどこも満室で予約困難な状態となった。それを“家賃の支払いが賄えるチャンス”と捉えた彼らは、エアーマットレスを購入し部屋に置き、自分たちの部屋を宿泊場所として提供した。