日露に続き米国も原発開発に名乗り

原発2基受注とレアアース共同開発で合意、日越首脳会談

レアアースの共同開発とベトナム国内の原子力発電所2基の建設を日本が受注することで合意した菅直人元首相とベトナムのグエン・タン・ズン首相(2010年10月31日撮

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 そこで、ベトナム政府が期待を寄せるのが原発だ。

 ベトナム政府は中南部に位置するニントゥアン省に、同国にとって初めての原発を建設する計画を進めている。そのパートナーがロシアと日本だ。ロシアはニントゥアン省に建設されるベトナムにとって初となる原発・第一原発を、日本は第二原発を受注している。

 福島第一原発の事故についてはベトナムでも報道されたが、ベトナム政府は原発建設の方針を今まで変えることなく、ロシアと日本との連携の下で、原発建設を進めようとしている。

 「2020年までの工業国入り」を政策として掲げているベトナムにとって、高い技術を要する原発を保有することへの象徴的な意味も大きいだろう。

 ベトナムでの原発開発において、注目されるのは米国の動きだ。

 米国のオバマ大統領は2月、同国とベトナムによる原子力の民生利用に関する原子力平和利用協力協定(123協定)を承認した。

 原子力技術の輸出には原子力協定の締結が重要なステップとなる。ベトナムでの原発開発ではロシアや日本が先行する。そんな中、米国はここにきて、ベトナムでの原発開発への参画に道筋をつけたということだ。

 この動きは日本企業にも関係する。日立製作所は原子力大手の米ゼネラル・エレクトリック(GE)と協力関係にある上、同じ原子力大手の米ウェスティングハウス・エレクトリックは東芝のグループ会社となっている。

 米越原子力協定は、米国企業と強い関係を持つ日本企業にとっても大きな意味を持つだろう。

原発建設に高まる不安と異例の抗議文

 しかし、ベトナムでの原発建設をめぐっては懸念材料も出ている。

 ベトナムのズン首相は今年に入り、ロシアが受注した第一原発の着工が2020年ごろに遅れる可能性を示唆した。これまで2014年中に着工し、2020年の稼働が目指されていたが、これが大幅にずれ込むのだという。