バンクーバー新報 2014年4月16日第16号
今年も大西洋岸でのアザラシ猟が開始された。EUのアザラシ製品禁輸措置や、動物愛護グループからの批判など、逆風にさらされているアザラシ猟は窮地に立たされている。
世界動物愛護協会の常任理事レベッカ・アルドワース氏は、「アザラシ製品はアメリカおよびロシア、大部分のヨーロッパの国々で売買が禁止され、商業アザラシ猟は、もはやニューファンドランド・ラブラドール州政府からの補助で生きながらえているような状態だ」と、その現状を指摘している。
これに対し連邦政府は、アザラシ猟は人道的であり、かつ、種の存続には脅威を与えないとしている。また、多くの沿岸コミュニティにとっては、欠かすことのできない収入源だと主張、その全面的サポートの姿勢を崩していない。
漁業海洋大臣ゲイル・シェイ氏は、猟に反対するグループがカナダのアザラシ猟とその製品に関して、誤った情報を広め続けていると非難。アザラシ製品業界にはまだまだチャンスがあり、連邦政府はそのための投資を今後も続けていくと、バンクーバーでの取材に答えている。
また、北方経済開発庁大臣レオナ・アグルカック氏は、昨年11月にWTOがEUのアザラシ禁輸措置を「公正取引を妨げる性格のものではあるが、『公衆道徳の観点』から妥当な措置とみなす」と結論付けたことに対し、貿易は事実と証拠に基づいて取り扱われるべきで、誤った情報に踊らされた道徳論で判断されるべきではないと、WTOとEUの姿勢を批判している。
動物愛護グループは、連邦政府がアザラシ猟のライセンスを買い上げることで、地域経済への影響を抑えつつ、この業界を終息させてしまうべきだと提案しているが、シェイ氏は「この業界は売りに出すようなものではない」とはねつけている。
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